「ホームページを作りたい」と相見積もりを取ると、30万円と300万円が並ぶことがある。同じ言葉で頼んでいるのに10倍違う。この差がどこから来ているのかが分からないと、安いほうを選んで後悔するか、高いほうを避けて機会を失うかのどちらかになる。
金額を決めている要素は、実はそれほど多くない。順に分解する。
1. ページ数ではなく「作るページの種類」で決まる
「10ページで見積もってください」という依頼をよく受けるが、ページ数は費用の主因ではない。
- 同じ型を繰り返すページ(お知らせ、実績一覧、スタッフ紹介)は、1つ作れば残りは中身を入れるだけ。20ページあっても費用はあまり増えない
- 1枚ごとに構成が違うページ(トップ、サービス紹介、採用特設)は、それぞれ設計と実装が必要になる
つまり「10ページ」より「何種類のレイアウトがあるか」で金額が動く。見積書が「1ページ○円 × 10ページ」という形になっている場合、この構造を反映していない可能性がある。
2. 原稿と写真を誰が用意するか
ここが見落とされやすく、しかも金額差として大きい。
制作費に「原稿作成」が含まれていない見積りは安く見える。だが実際には、公開直前になって「原稿をください」と言われ、本業の合間に十数ページ分の文章を書くことになる。結果として公開が3か月遅れる、というのはよくある話だ。
写真も同じで、撮影費が入っているかどうかで数十万円変わる。素材サイトの写真で済ませるのか、実際の現場を撮るのかは、仕上がりの説得力にも直結する。
見積書を比べるときは、まず「原稿」「写真」「ロゴ」の3つが誰の担当になっているかを確認する。ここが揃っていない見積りは、金額の比較そのものが成立しない。
3. 公開後に自分で更新できるか
更新の仕組み(CMS)を入れるかどうかで、初期費用は変わる。
- 入れない: 初期費用は安い。ただし文言を1行直すたびに制作会社への依頼と費用が発生する
- 入れる: 初期費用は上がる。お知らせの追加や写真の差し替えを自社でできる
判断の基準は「月に1回以上、自分たちで変えたい部分があるか」。年に数回しか触らないなら、無理に入れる必要はない。逆に採用情報やお知らせを頻繁に出すなら、入れないと運用が回らない。
4. どこまで「動く」ものを作るか
見た目が同じでも、裏側の作業量はまったく違う。
| 内容 | 実装の重さ |
|---|---|
| 会社案内を並べるだけ | 軽い |
| 問い合わせフォーム | 中(送信処理・スパム対策が要る) |
| 予約・申込の受付と管理 | 重い(データベースと管理画面が要る) |
| 会員機能・決済 | 重い(認証・セキュリティ・障害対応まで) |
「ホームページ制作」と一言で頼んでも、下2つが入ると、それはもうWebアプリケーションの開発になる。金額の桁が変わるのは当然で、この線引きが曖昧なまま進むと、後から「それは別費用です」という話になりやすい。
5. 公開後の保守が含まれているか
意外と差が出るのがここ。
サイトは公開して終わりではなく、CMSやプラグインの更新、SSL証明書、バックアップ、不具合対応が続く。保守が見積りに入っていない場合、その作業は自社でやることになる。放置すると、数年後に「更新できなくなったので作り直し」という一番高い選択肢に行き着く。
保守費用が月額で入っている見積りは、初期費用だけ見ると高く見える。総額で比べる必要がある。
見積書で見るべき4行
長くなったが、比較のとき最初に確認するのは次の4点でいい。
- 原稿と写真は誰が用意するか
- レイアウトが何種類あるか(ページ数ではない)
- 公開後、自社でどこまで直せるか
- 保守が含まれているか。含まれないなら誰がやるか
この4つが揃っていない見積りは、金額を並べても意味がない。逆にここが明記されていれば、多少高くても何にお金を払っているかが分かる。
それでも判断に迷ったら
当社では、見積りを出すときに実現方法を複数並べてお出ししています。「安く早く作る案」「運用まで含めて整える案」を並べ、それぞれ何ができて何ができないかを書く。金額だけを1つ出しても、比べる材料にならないためです。
ご相談から見積りまでは無料です。他社さんの見積書を見ながら「これは何の費用か」を一緒に読み解くところからでも構いません。